すみれ乳児院では“子どもの権利条約”に基づき、
すべての「子どもの最善の利益」が尊重されることを基本にしています。
2009年4月にすみれこどもケアルーム憲章を作成しました。
すみれこどもケアルーム憲章
すみれこどもケアルームは、子どもが病気やけがで登園・登校出来ず、さまざまな理由で家庭での看護が困難な時に利用できる保育室です。
わたしたち職員は、いつも子どもの病状や様子をよく観察し、少しの変化も見逃さず嘱託医と密に連携を取り、早急に的確な対応が出来るように努めています。そして、保護者から預かった子どもの生命を何事もなく無事に保護者の元にお返しすることを最大の目的としています。子どもたちは体調が良くない上に、慣れない場所やいつもと違う保育士・看護師の中で緊張し不安でいっぱいになります。わたしたちは、子どもたちのそんな不安を受け止め、家庭で過ごしている時のように居心地よく過ごせるように関わっていきます。
わたしたちすみれこどもケアルームの職員は、子どもたちの保育看護をすることはもとより、病気の子どもを預ける保護者の不安も受け止めながら、子どもたちの健やかな成長発達を支えて行きたいと思います。
1.子どもたちの快復を手助けします。
看護
- 入室する子どもの病状を医師からの指示票と保護者からの問診票の内容で正確に把握します。
- 子どもたちの病状の変化に気づき、速やかに医師へ連絡し、その指示に従います。
- 投薬内容の確認と管理を保護者・医師・薬剤師と連携しながら正確に行います。
- 睡眠時も子どもたちから目を離すことなく、うつぶせ寝などによる事故の予防に努めます。
- 登録している子どもたちの予防接種歴や病歴の確認をし、保育室内での感染予防に努めます。
- 地域の病気の流行状況について情報を集め、入室予約の時や受け入れの際に感染症が重ならないように気をつけます。
清潔
- 保育室の机や床、おもちゃなどの掃除や消毒を毎日こまめに行い、清潔で気持ちよく過ごせるようにします。
- 隔離室を使った後は、換気やベット周りの消毒など部屋の管理を徹底します。
- 毎日、シーツ交換、布団乾燥、タオルケット類の洗濯をし、清潔を保ちます。寝具は年2回の定期交換を行います。
- 手洗いは一作業ごとに行い、うがいをしたり、適切にマスク・使い捨て手袋・ペーパータオルを使用することで、感染予防に努めます。
生活
- 食事やおやつは体調にあわせ無理をせずに、楽しく食べられるような雰囲気つくりをします。
- 食物アレルギーなどの除去食の内容や変更事項の確認を行い、確実な伝達と配膳を徹底します。
- 病気の時は発汗などで身体が不潔になることが多いので、温かいタオルで拭いてこまめに着替え、気持ちよく過ごせるようにします。
- 0歳から小学生までの生活リズムが違う子どもたちが、個々のリズムで一日を過ごせるように配慮します。
- 子どもたちの周囲に危険なものがないか日々チェックし、危険なものは速やかに取り除きます。
遊び
- 保育所や幼稚園、小学校を休んだ子どもたちの気持ちに寄り添い、季節感のある遊びが楽しめるようにします。
- 年齢に合った安全なおもちゃや絵本をそろえ、遊びの環境を整えます。
- 子どもたちのしたい遊びを大切にしながら、体調に合わせた無理のない保育になるように工夫します。
- 隔離室の利用は連続する場合が多いので、個別保育を楽しめるように保育内容を充実させていきます。
2.保護者の子育てと就労を支えます
子育て支援
- ケアルームでの様子や予測される病状の変化などをていねいに伝え、ケアルームと家庭が連携して病気の回復に努めます。
- 病気の時の食事や水分の取り方、薬の飲ませ方などがわからない時や、どのような時に受診した方がよいかなどの質問や相談に親切に対応します。
- 子どもたち一人ひとりの違いを受け止めて、保護者の育児不安に寄り添い共感します。
- それぞれの家庭環境を理解し、様々な子育てサポート機関とも連携していきます。
働く親への支援
- 突然の子どもの病気と仕事の都合の中で、あわてて電話連絡をしてこられる保護者の気持ちを受け止めながら、ていねいに対応します。
- 利用予約が多い時や感染症が複数流行している時などケアルームが利用できない時は、他の病児・病後児保育室を紹介して、できる限りの対応をします。
- 多様化する就労形態に合わせ、短時間の受け入れなども行います。
- 受け入れ時は、病気の子どもを預けて仕事に出かける保護者の気持ちを理解し、あたたかく子どもを迎えます。
- 個々の家庭の仕事観、子育て観を受け止めながら、職員は批判的な言動をとることのないようにし、保護者と共に子どもたちの心と身体が健康になるように努めます。
- 地域の保育所と連携して、子育て支援の役割を果たしていきます。
3.情報の伝達と管理を適切に行います。
- 病児保育を利用するための事前登録や利用時に知り得た情報を、保育看護の目的以外に使用したり、他者に知られることのないように管理します。
- 病児保育室内で起こった感染や事故は、速やかにすみれ乳児院と嘱託医に報告し、対応します。
- 病児保育の利用状況や保育看護のとりくみなどは、機関紙『おたより』を活用して広く情報を知らせ、多くの人が病児保育を利用できるようにします。
4.病児保育制度が充実するように、行政への働きかけを行います。
- 利用者の声や要望を、大阪市や国に届けます。
- 職員が正規職員として雇用され、専門性が高められるように補助金の増額を求めます。
- 全国の病児保育団体や多くの病児保育の発展を願う人たちと協力して、制度としての病児保育が向上するように努めます。
あとがき
1991年、すみれ病院の小児科医の提案から、保育所・乳児院・障害児施設・老人ホームで働く職員の有志と、労働組合・保育運動団体・民生児童委員の有志が集まり、子育てと仕事の両立を図るための病児保育をスタートさせるため、学習と話し合いを重ね、1994年5月すみれ病院の中に無認可で「すみれ病児保育所」を開所しました。
開所後も有志による「病児保育をささえる会」は、運営費を確保するために募金活動や講演会、認可に向けての運動を行い、1996年4月にすみれ乳児院の地域福祉事業として現在の場所に移転することで、「すみれ病児保育所」は「すみれこどもケアルーム」として大阪市の認可を受け、新たなスタートを切りました。当時は病気の子どもを預けることへの理解が得にくい時代でしたが、大阪市内4ヶ所の乳児院で行われていた病後児保育の中で、毎朝入室前に小児科の受診ができる「すみれこどもケアル-ム」は、市内全域より年間延1300名を超える利用があり、全国から多くの見学者がありました。
その後、政府による少子化対策としての子育て支援の一環として病児・病後児保育は進められるようになり、2009年3月現在大阪市内に25ヵ所、全国でも約800ヵ所の病児・病後児保育が認可され、より身近に病児保育室が利用できるようになりました。
しかし、病児保育は看護師と保育士がチームで関わる中で、高い専門性が求められるにもかかわらず、運営補助金が充分ではないため非常勤雇用が多くなり、それにともなって職員の入れ替わりが多い現状があります。
そんな中、わたしたちは職員一人ひとりが病児保育の必要性を理解し、子どもたちへの関わりや保護者とのつながりを大切にし、母体である「すみれ乳児院憲章」の想いを受け継ぎながら、より質の高い病児保育を目指すために「すみれこどもケアルーム憲章」を作成しました。
2009.4.25
